大成功におわった、町田の職場体験 ーー PTA連合会長からみて

2005.12.19 脇 山 幸 之

1.概要

2005年1月ごろ、市に都から「中2生の職場体験事業」をやってくださいと打診があり、市教委では実施することとなりました。

しかも市からの提案は、「全市が一斉で、9月の最終週つまり9月26日から30日に、5日間、約2800人の中学2年生が・・・」というものでした。これには、全員ですから障碍学級の生徒も含まれていました。市が受けて始まったということと、初めてということで、まず市教委が、職場の確保にうごくということで、スタートしました。また、生徒一人に約1万円の予算がつき、活動費になりました。受け入れする職場には一切お金の支給なしで、全くのボランティアで職場探しなどに携わってくださった方には、薄謝ありでした。 この事業の目的は、最近のフリータ、ニートなどをなくそうとする点を見据えたキャリア教育の一環として、「14,15歳で職業感を養う意味」で実体験をするというものでした。

2.実際

しかし市はもちろん、教委ですら、ましてや学校ですら、もちろん保護者などはそのノウハウを全く持っていません。

おりからの、学力低下で、「何で勉強しないでそんなことに時間をつかうのだ。」のような今となってはありきたりの質問から、「希望の職場にいけないことを、どうしてくれるのだ。」これらは保護者から。先生からは「時間の厳しい折、どうやって、やりくりするの?」「今年の移動教室は重なるが、どうするのだ。」からはじまり、「生徒を指導していく意義を見出せない」「こんな実践的なことを良くぞ決断してくれた。」など、これもあらゆる質問が噴出して、それはもう大変でした。 受け入れる事業所からは「毎年2-3日だからやっているけど5日間なんて、こっちがばてる。」「9月は半期の決算月だ、誰がこんな馬鹿な計画を考えたのだ。」など。もう手厳しい。しかしなるほどと納得したりして。

最後は生徒たち、「いくらもらえるの?」「学校、こなくていいんだ!」「勉強していたほうが楽しいよ!」「部活ができないし、塾に行くのが大変だ」など。思わず苦笑するような反応でした。

これらが如実に語るように、まさしくてんやわんやでした。PTAで対応した私は、いろんな保護者からの問い合わせを受け、「なんで僕が市役所みたいなことするの?」と思いつつ、その当時の都副知事だった竹花さんからも、「中学は職場体験、小学校では自然体験を都ではしっかりやっていきたい。ぜひ協力をお願いしたい。」とあったので、また今はフリータ問題、13歳のハローワークなどが脚光をうけているので、いい事業だと思って、PTA連合会でも積極的に、各学校のやりかたにしたがって、それぞれができるところを支援しようということでスタートしました。

それは、職場探しを実際にするところから始まり、関連で発生するお金の計算や仕分けなどの手伝い、家庭での交通状況調べ、親の職業感を教える、職場体験当日、励まして送り出す、お弁当つくりをするというような、普段から行っていることまで、やろうということで結集しました。また、当日職場訪問を先生が行う場合に運転手をし、また手分けして保護者が実際に自分たちで職場を回るをも行いました。

広報誌や記録のために、写真を撮ったり、関係者のインタービューを行った保護者も多くおりました。 受け入れ職場からは、大小の賞賛や、クレームもたくさんいただきました。最高は「この子にすぐにアルバイトに来てほしい」。最低は「この親を連れて来い。非常識だ」ではないでしょうか?しかし皆さんに辛抱強く、それぞれの場面で、支えてもらいました。

このように、あちこちから支援を受けて終わった活動でした。そして、終わっていえることは、それが大成功に終わった事です。

参加した多くの生徒たちは、「楽しかった。」「大人たちはこんな大変な事を毎日やっているんだ。」「思ったより簡単だった。」「予想通りの仕事で楽しいから僕の進路はこれにするんだ。」など。もちろん「もう2度と行きたくない。」「つまらなかった。」などという意見もありました。

保護者からも、「よかった」「もっとやらせたい」から始まり、「やはり勉強していたほうが中学生らしい」、終わった今も「勉強をさせるべきだ」という意見もあります。

3.今後への課題

このようにして、約2800人の体験はおわりました。

そこで一息つく暇もなく、もう来年の準備をしないといけません。今年の反省をどう生かすことができるか?まず職場探しが相変わらず大問題です。この事業は東京都の主導ですので、来年はもっと実施対象範囲を広げていくため、今年お願いした他市での活動ができなくなると考えたほうが正解でしょう。だから、市内で全数を充足させることが望ましくなります。実際、来年の場所探しの方法がまだ確立していない中、議論がいろいろ。

時期的には、学校がおのおのスケジュールに合わせて、できるようにするようです。ということはある事業所では、年間通して受け入れてくださるところが出てくる可能性があります。これも検討課題でしょう。また、今年事業主から評判の悪かった生徒たちのような生徒を、どのように指導するかという大きな課題があります。 つまり、職場体験ということに意識の低い子どもたちをどう指導するかです。

意識の高い子、関心の強い子はそれなりに自分で調べ課題も選択しています。意識の低い子どもたちに、それなりの意識をもたせることが厳しそうです。難しいといって放っておくことは職場体験全体の継続を困難にしかねません。

これは、何事もそうですが、集団で起こる分布の話しです。つまり、上の20%は放っておいてもOK。下位の20%をどうするかです。方法により、真ん中の60%が上につくか下につくかで変わってくるということです。

これについては兵庫県などの先輩の件をみならい、行政、学校、保護者がどうおこなえばいいかを検討して必要があります。みんなで知恵を出しあっていかなければなりません。そうしていくことが、将来のフリータなどを減少させる近道なのではないでしょうか?

遠大な計画ですが、これを地道に実行していったとき、子どもたちの輝ける姿が見えるのではないでしょうか。サイはすでに投げられています・・・。


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Last-modified: 2005-12-30 (金) 20:46:05 (4252d)